秋葉祭り

鳥毛ひねり

秋葉祭りは土佐の三大祭りのひとつと言われており、毎年2月11日(建国記念日)に華麗な練りが行われます。(以前は旧暦1月18日に行われていましたが1994年から2月11日に変更されました。)

秋葉祭りは3日間に亘って行われます。初日(2月9日)に御神体を岩屋神社に、二日目(2月10日)の深夜に市川家にと神幸された御神体を、三日目(2月11日)に市川家から秋葉神社に一日かけて環御します。三日目の還御の際に、華麗な練りが行われます。尚、この祭りは、高知県保護無形民俗文化財に指定されています。

秋葉祭りの行われる仁淀川町(旧仁淀村別枝)は高知県と愛媛県の境となる四国山地の奥深くにあり、この時期は、雪も降り、とてもヒヤイ(寒い)のですが、美しい装束の行列、華麗な鳥毛ひねりを見ようと、県内外から多くの見物人が集まります。

岩屋神社 秋葉神社 岩屋神社の川向こうから準備を整えてやってくる沢渡集落の人達

秋葉祭りのはじまり

秋葉神社は遠州秋葉山から別枝集落の岩屋に祭祀したのが始まりと言われており、その後、法泉寺、関所番の市川家で祭られ、1794年に郷民の要望で現在の秋葉神社の場所に遷されました。この時、年に一度、ゆかりの地に御神幸する約束となりました。御神幸の帰り道程『岩屋神社〜秋葉神社』が『秋葉祭礼練り』と言われ、私達が見学に出かけるお祭りです。

秋葉神社の祭神は火産大神(ホブスナノミコト)という火の神様で、女性の神様。火防や災難避けの信仰があります。「秋葉祭りの装束は、火消しの装束」と地元の方から説明を受けましたが、火の神様だからなんですね。

練り

祭りの当日、本村地区、霧之窪地区、沢渡地区の「三つの踊子地区」と神社側の「郷付き」の4団体が岩屋神社に集合し、200人程の行列を編成し、神様を神輿に乗せ、岩屋神社から市川家、法泉寺、中越家(しだれ桜の名所)とゆかりの地を巡りながら秋葉神社まで行列をなして歩きます。これを「練り」と言います。尚、三つの集落の順番は毎年変わります。

良く観察していると、それぞれの集落によって衣装も囃子も違う事が分かります。持っている棒についている飾りの色も違い、地域の人が見れば「これは○○のが(これは○○集落の物)」と、すぐに分かるそうです。

油売り 鼻高に先導される練り 細い山道を行く練り

練りは、祭りの総采配役となる先払いの鼻高面を先頭に、神輿を中心とする神幸行列、それに従う沢渡、霧の窪、本村の奉納組の行列が続きます。写真にある様な細い山道を4キロも朝9時頃から3時頃にかけてゆっくりと秋葉神社まで練り歩きます。 赤、紫、緑、黄、白の5色の色紙を組み合わせて作った「踊り棒」や「練り棒のふさ」や、赤、紫、緑、黄等の原色の染め物で仕立てられた「踊子の衣装」が、この時期良く降る雪景色によく映えます。

鳥毛(ひねり)

秋葉の祭りのハイライトは鳥毛ひねりです。 鳥毛棒を火事装束の若者が長さ7メートル、重さ8キロの檜でできた鳥毛棒を直立させたまま、10数メートル向こうの相方に投げ渡すことを、岩屋神社、市川家、大石家前、法泉寺、中越家、秋葉神社で行い、行列は進んでいきます。とってもかっこよく、華麗に舞いながら鳥毛ひねりをする若者に、拍手とどよめきがおこります。

以下に掲載している動画は、秋葉神社で行われたものです。沢渡、霧の窪、本村の衣装の違い、舞の違い、囃子の違い等がお分かりになると思いますので、お時間のある方は見てみて下さい。

鳥毛ひねり遠景(大石家前) 鳥毛アップ 鳥毛棒トップをアップ

多彩な役者達

練りの道中には、ヒョットコやお多福面をつけた油売りが、神出鬼没で姿をあらわし、笑いを誘いながら四手飾りをつけた小さな竹棒を売っていきます。人々は防火の守りとしてこれを買います。聞くと、油売りはキツイ役回りだそうです。自分の属している集落の踊りや鳥毛が終わらないうちに、そこを離れ、先回りして、沿道で練りを待つ人を退屈させない様にする役割があり、動画をみれば時々甲高い声が入っていますが、普通の声で話してはならず、ずっとあの声で盛り上げていなければならないのは、総采配役の鼻高よりもキツイという事です。秋葉神社で、練り到着を待っている時も、先に油売りが現れ、楽しく場を持たせながらお守りの小さな竹棒を売っていました。

鼻高は先にご紹介した通り、総采配訳で、油売り以外は鼻高の先を進む事はできません。鼻高に似た格好で、鼻が高くない赤い鬼の面を付けた人が、各集落毎に二人、合計六名います。これは、悪魔だそうです。悪魔は、各集落の采配役。先頭と最後尾に各一人づついます。鼻高と同様、悪魔を追い越して先に行けるのは、油売りだけです。

油売りアップ 鼻高アップ 悪魔アップ

太鼓を担ぐ赤い狐の二人、獅子(狗?)。神社は、一般的にお稲荷さんには狐、その他の神社は狛犬が守っていますが、秋葉祭りには二者が御神幸に従っています。獅子(狗?)は、獅子舞はしていない様に思いますが、私がよう見ていないだけかもしれません。神輿担ぎは16名。細く急な斜面を重たい神輿(約1トンとか)を担いで回り、立ち寄り先では激しく神輿を揺らします。屈強な山の男たちでも、ちょっと顔が歪んでしまう場面もあるようです。

太鼓を担ぐ赤い狐 獅子 神輿アップ

太刀踊りと踊り棒

稚子行列は各集落12名づつです。稚児達は鳥毛ひねりの後に太刀踊りをします。太刀踊りは、槍とさいはら(両端に紙のじゃんばらのついた竹棒)、中太刀と小太刀がそれぞれ向かい合って踊るもので、いずれも歌に合わせて、槍と中太刀は踊り棒を、さいはらと小太刀は太刀を持ってしなやかに踊り、お囃子が終わるとほら貝の合図で激しく相手とわたり合います。祭りの後に、祭り関係者から太刀痕の付いたさいはらを頂きました。これは、防火のお守りになるそうです。

稚児行列 太刀踊り 真剣を持って踊る

動画

2007年−沢渡の鳥毛

2007年−霧の窪の鳥毛

2007年−本村の鳥毛

2007年−秋葉祭り 神輿の本殿入り

メモ

祭り当日は周辺道路の交通規制がありますので、予め確認をされてからお出かけ下さい。朝7時過ぎにはたくさんの車がきています。

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