手結港
香南市の夜須町手結(てい)には、人手による堀込港湾では日本最古と言われる「手結港(ていこう」があります。現在は、外港も整備されている事から、手結内港と呼ばれる事もあります。近年、高知では珍しい可動橋も付けられました。
石積みが美しい
元々、手結港は天然の良港で、長宗我部地検帳にも多くの水主の居住が記載されています。江戸時代、土佐藩二代目藩主忠義時代の家老野中兼山が堀港として改修を行い、利便性を高くしました。1650年に築港に着手し、1657年に竣工したのが、今、私たちが見ている手結港(内港)です。
当時の土佐藩は産業基盤の構築という大役を野中兼山に託し、兼山は重要な港の一つとして、この手結港の改修、整備を進めました。今の私たちの感覚では「小さい」と思いますが、元々、港があったとは言え、重機のない時代に人手で掘り、石を積み、このように作っていったと思うと、さぞ大変だっただろうと思います。今見ても美しい石積の港ですが、この石積が350余年もの歳月を経ていると思うと、また、違って見えてきそうな気がします。
港をぐるりと細い道が囲んでいます。徒歩で歩いてもそう大した時間はかかりませんので、古い石積の港の風情を楽しみながら散策をすると良いですよ。暑い時期は海風も気持ち良いです。
不釣合いな可動橋
こんな風情のある手結港の入り口に、巨大な橋ができました。しかも動く可動橋です。近くに立てられている説明板によると、手結港可動橋(正式には「高知県手結港臨港道路可動橋」だそうです)は、手結港周辺の振興を目的に平成14年9月に完成したそうです。私は、最古の堀込港湾の姿形の良さや風情を壊している様な気がして残念な気がします。
港に出入りする船の邪魔になるからでしょうか、殆どは橋は空高くそそり立っています。1日数回、橋がゆっくりと降りてきて架かりますが、時刻表を見る限りにおいては、1日のうち合計8時間しか渡れません。
可動橋観察記
たまたま、降りていた橋が上がる時に遭遇しました。まず、踏切が鳴り始めます。そして、遮断機が下ります。その後、踏み切りの音が止まるとそこからは音もなく、ゆっくりと橋が持ち上がりました。そして動き始めて約3分半で持ち上がりきりました。「持ち上がった」というより「そそり立った」橋を下から眺めると壮観です。
動画
実録は4分ですが1分に短縮してあります
- 2006年−手結港の可動橋が開く様子(RealPlayer)