佐喜浜俄

俄の一場面

高知県のほぼ東端に室戸市佐喜浜町というところがあり、佐喜浜(さきはま)八幡宮では毎年、体育の日前日の日曜日に華やかな「佐喜浜八幡宮秋祭り」が行われます。秋祭りの中で奉納される「俄」は、大変人気があり、佐喜浜町以外からたくさんの人が見学に訪れます。

佐喜浜八幡宮の秋祭り

佐喜浜八幡宮の秋祭りでは、「獅子舞」と「俄」が奉納されます。この祭の古式行事(獅子舞や俄)は、高知県の無形民俗文化財にも指定されています。

佐喜浜八幡宮の境内 佐喜浜八幡宮の境内 佐喜浜八幡宮の参道

まずは「獅子舞」から

正午から式典が始まり、「暴れ獅子」という獅子舞が行われます。八幡宮境内で獅子舞を行った後、午後1時頃に、八幡宮よりも少し西にある別の宮(浜宮)に「暴れ獅子」と御神輿が移動します。

浜宮でも、まず、境内の巫女さん達が座っている前で、「暴れ獅子」が行われます。お囃子(というのでしょうか)として、灰色の袴を見につけた太鼓が1人、笛が1人、そして、獅子舞のサポートをする人が1人ついていました。

暴れ獅子の様子 暴れ獅子の様子 暴れ獅子の様子

獅子舞は、とても迫力満点!見いってしまいます。「暴れ獅子」という演目だからでしょうか、赤い棒が参拝者達を守る様に効果的に使われているように思いました。赤い色をした棒は写真やビデオに見えると思いますので、確認してみて下さい。

暴れ獅子の様子 暴れ獅子の様子 暴れ獅子の様子

時々、群集の方に獅子がドーッと押し寄せてきます。これに伴って、子ども達が「キャーッ」と言いながら、でも、笑いながら、走って逃げていきます。子ども達は、毎年のことだからでしょうか、獅子との間合いの取り方というか、ちょっかいの出し方と逃げるタイミングが絶妙で、この空間がすごく良い雰囲気を出していました。

暴れ獅子の様子 暴れ獅子の様子 暴れ獅子の様子

「俄」の奉納

「暴れ獅子」が終わると「俄」が始まります。毎年、2本立てで行われます。「俄」とは、『即興的に演じる滑稽な寸劇(大辞林より)』ということですが、まさに観客の笑いを誘う、楽しくも風刺の利いた芝居を見せてくれます。

2003年俄の様子 2003年俄の様子 2003年俄の様子

「俄」は、当日まで脚本が役者に渡されるそうで、当日まで、どんな内容の物であるかは戯作者以外は誰も知らないのだそうでうす。ですから、演じている役者のそばに脚本を持った人がいて、役者の補助をしています。役者3人の近くに座っている人がこの人達です。

「俄」は「○○○○のだーんっ!!」と劇のタイトルを叫びながら、幕の中から人が躍り出て来ます。残念ながら、この日は、声が割れてて○○の部分が聞き取れませんでした。

2003年俄の様子 2003年俄の様子 2003年俄の様子

役者は皆、顔を真っ白く塗り、赤い頬紅等のお化粧をしています。そして、衣装もちょっと辺で、ヨレヨレのスーツにシャツを出したり、下駄や左右違った靴や長靴を履いていたり…で、とにかく滑稽な格好をしています。

2003年俄の様子 2003年俄の様子 2003年俄の様子

話の内容は、その時々の社会の出来事を風刺の効いた内容で面白おかしく切り取っています。また、地区の人にしかわからないだろうと思われる、地区のちょっとした事件等も話の中に織り込まれているようで、俄の題材にして、この際、良いも悪いも笑い飛ばしてしまおう〜!といった漁師町のおおらかさを感じました。

「俄」の内容は毎年変わるので、毎年見に行きたくなるお祭です。

2003年俄の様子 2003年俄の様子 2003年俄の様子

再び本宮へ

浜宮での「俄」が終わると、獅子舞や御神輿といっしょに、再び本宮に移動していきます。道沿いに並んだ家の中からお婆ちゃんが、御神輿行列に手を合わせている姿のが印象的で、派手な「俄」だけに目が行きがちですが、氏子の皆さんの神様への思いを感じることができました。

八幡宮に着いたら、再び「暴れ獅子」が始まります。境内の両脇に並んだ桟敷でお酒やお料理を食べながら見ている地元の人、子ども達。

そしてまた、「暴れ獅子」を取り囲む様に集まってくる子ども達。そして、突然、その子ども達に獅子が向かっていくと、子ども達はやっぱり「キャーッ」と言いながら参道を走って逃げていきます。大人たちは、これを楽しそうに眺めています。

暴れ獅子の様子 暴れ獅子の様子 暴れ獅子の様子
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