久枝・前浜の
エンコウ祭り

夕闇に浮かぶエンコウ小屋と花火をする子供

南国市久枝、前浜地区では6月第一土曜日に「エンコウ祭り」が行われます。エンコウとは河童のような妖怪のことで、水難事故等がないように水との関わりの深いエンコウにお願いをするお祭りが「エンコウ祭り」です。

橋のたもとのエンコウ小屋(棚)

久枝、前浜地区の後川沿いの橋の袂でエンコウ祭りが行われるいると聞き、2010年6月5日に様子を見に行ってきました。

私は西から、境目橋のたもと(前浜西組)伊都多橋のたもと(前浜中組)紀貫之の大湊泊地跡の碑の建つ公園(前浜寺家(じげ)組さんのう橋のたもと(前浜東組)水門河口近くの橋の西川(浜窪組)下島橋のたもと(下島組)宮前橋のたもと(久枝西組)前川橋のたもと(久枝中組)トリム広場のすぐ西の橋のたもと(久枝東組)の9箇所のエンコウ小屋(エンコウ棚や菖蒲小屋と言う人もいました)とその様子を見てきました。もしかしたら、上記にカッコ書きで書いてある組の呼称は間違っているかもしれません。

それぞれの組でエンコウ小屋の作り方が異なり、面白いです。久枝の人に聞いた話では、久枝は四角く屋根を作り、前浜は上で菖蒲を結ぶ様にするのが特徴だという事でしたが、前浜地区の前浜中組、寺家組のエンコウ小屋の屋根は平たかったです。下の写真は、上に記載したのと同じ順に左上から順番に並べたものです。

境目橋のたもと(前浜西組)のエンコウ小屋 伊都多橋のたもと(前浜中組)のエンコウ小屋 紀貫之の大湊泊地跡の碑の建つ公園(前浜寺家(じげ)組のエンコウ小屋
さんのう橋のたもと(前浜東組)のエンコウ小屋 水門河口近くの橋の西川(浜窪組)のエンコウ小屋 下島橋のたもと(下島組)のエンコウ小屋
宮前橋のたもと(久枝西組)のエンコウ小屋 前川橋のたもと(久枝中組)のエンコウ小屋 トリム公園すぐ西の橋のたもと(久枝東組)のエンコウ小屋

2014年 追記

2014年のエンコウ祭りでは、下田村避難タワー近くの「里組」のエンコウ小屋も見てきました。以前は下田村避難タワーの北側の小川沿いにあったそうですが(というか、昼はその場所にありました)、夕方には下田村避難タワーの南側に移されていました。2014年から場所を変えたのだそうです。写真の左端が以前の場所の様子、中央が2014年からの場所での様子。

前浜東組と浜窪組と下島組が2014年から一緒になりました。前浜東組と下島組がエンコウ小屋を作っていた場所にはエンコウ小屋はなく、浜窪組のエンコウ小屋の場所に、一緒になった組の人達が一緒に作ったエンコウ小屋が置かれていました。(写真右端)2010年撮影の下島組のエンコウ小屋に似ています。

里組のエンコウ小屋(以前の場所) 里組のエンコウ小屋(20014年からの場所) 前浜東組と浜窪組が一緒になって浜窪組の場所におかれたエンコウ小屋

2015年 追記

「里組」のエンコウ小屋の場所が下田村避難タワーの敷地内に変わっていました。生の魚(たぶん鯛の仲間)がお供えにあり、他のエンコウ小屋にはない特色でした。

2014年に3つの組が一緒になったと書きましたが、前浜東組が2015年は復活していました。浜窪組と下島組が昨年から一緒になったが、前浜東組は2年間お休みをしたのだ…と南国市文化財課の方から教えて頂きました。
復活した前浜東組のエンコウ小屋は、以前と少し形が違っているようでした。エンコウ小屋を置いてあった場所(以前は橋の上にあったのが橋の南袂付近に)も少し変わっていました。一方の浜窪組に置かれたエンコウ小屋も昨年と随分と形が違っていました。下島組と一緒になる前の2000年に見た浜窪組のエンコウ小屋に形が近かったです。

前浜中組に電飾飾りが登場していました。昨年までは提灯だけだったのですが、橋の欄干にピンク色の電飾飾りが付けられていました。いらした組の大人に聞くと、冬に前浜公園のクリスマスイルミネーションに使っているものだそうです。

エンコウ小屋の下に敷いてある石を海に取りに行くのですが、初めて久枝東組の子ども達に付いていくことが出来ました。暑い中、中学生3人と小学2年生の4人は頑張ってました。

里組のエンコウ小屋の(下田村避難タワー下) 里組のエンコウ小屋のお供え 浜窪組のエンコウ小屋2015年
復活した前浜東組のエンコウ小屋 前浜中組の電飾飾り) 久枝東組の石集めの様子

準備の様子

エンコウ祭りは子供たちのお祭り。一昔前までは、男の子達だけで全ての準備をしていたそうですが、今は子供の数が少なくなってきたことに加えて、塾や部活等で子供達も忙しくなってきたので、昔の子供のおんちゃん、おじいちゃん達がお手伝いをしていました。

エンコウ祭りの準備作業は、エンコウ小屋に関わることと、周辺の提灯や花火発射台に関わることの2つに大きく分かれます。

菖蒲を刈る(前浜中組が久枝中組の近くで刈っているところ) 刈り取った菖蒲 菖蒲を洗う(前浜西組)
エンコウ小屋の下に海砂利を敷く(久枝中組) エンコウ小屋の枠(前浜中組) エンコウ小屋に菖蒲を挿す
エンコウ小屋製作中(前浜中組-伊都多橋) エンコウ小屋製作中(前浜中組-伊都多橋) エンコウ小屋製作中(前浜中組-伊都多橋)

30代と思われるお父さんが、「僕らーが子供の時は先輩らーに色々言われながらやった。エンコウ小屋の枠らーなかったも。当日の朝から、木やら竹やらを組んで、枠作ってから菖蒲を挿してエンコウ小屋を作ったが。昔は道路も土やったき、枠の木をそのまんま打ち付けることができたしねぇ。それに護岸工事もされてなかったき、菖蒲も自生しちょったし、根が深うまで張ちょったき茎も太かった。色々変ったけんど、この菖蒲の匂いだけはかわっちゃーせんねー。菖蒲の匂いをかぐとエンコウ祭りやという気がする」と話してくれました。

エンコウ小屋製作中(久枝-宮前橋) 提灯に砂を入れる(久枝-宮前橋) エンコウ小屋の中にひくヒノキの葉(久枝-宮前橋)
提灯を立てる(久枝-宮前橋) 掃除(久枝-宮前橋) 花火台(前浜西-境目橋)

夕方から花火や爆竹

夕方、日が傾きだすと、近所の子供達、大人達がたくさん集まってきます。まずは、エンコウ小屋に供えられたキュウリ揉みをお箸で一つまみし、手のひらに受け、頂きます。そして、置かれている日本酒をお猪口に少し入れ、頂きます。そして、エンコウさまに水難事故がないようにお祈りをします。子供もおじいちゃんもおばあちゃんも、皆、来るとまずお参りです、

エンコウさまにお参り(久枝-宮前橋) エンコウさまにお参り(久枝-宮前橋) エンコウさまにお参り(久枝-宮前橋)

子供達はこれからがお楽しみ。地区を回って集めた寄付金で買った大量の花火や爆竹をどんどん始めます。とにかく豪快にバンバンと橋の上から川面に爆竹を投げ入れたり、ロケット花火を連射したり。当然、花火や爆竹の燃えカスや破片も飛んできて私も何個か当たりましたが、これは、当たる様なところにいる方が悪い?!

もちろん、手に持ったままやるおとなしい花火もありましたが、多くは派手なロケット花火や爆竹でした。大人たちも「おーいはよう、ばんばん花火打ち上げや」と、男の子達に声をかけていて、とにかく子供達が楽しそうに花火を楽しんでいたのが印象的でした。

花火を楽しむ子供(久枝-宮前橋) 花火を楽しむ子供(久枝-宮前橋) 花火を楽しむ子供(前浜-寺家組)

取材日:2010年6月5日(掲載日:2010年6月22日)
取材日:2014年6月7日(加筆日:2014年10月30日)
取材日:2015年6月6日(加筆日:2015年6月6日)

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