朝峯神社 秋の大祭
秋の大祭は、古くは旧暦10月20日に行われていましたが、その後、新暦10月20日となり、現在は10月第三日曜日に行われています。
朝峯神社は土佐延喜式内社21社の一つで、主神は木之花佐久耶姫(コノハナサクヤヒメ)です。安産、酒造りの神様として地域の人達に親しまれています。
御旅所へ向かう神幸行列
拝殿で神事が行われた後、御旅所にむかいます。
先頭は長い竹を担いだ人達。その後を、様々なお道具を持った社人、一夜仕込みの酒が入った瓶、頭屋夫婦、神輿、傘さし等が進みます。行子の童児は身体に不釣合いな大きな刀を挿して、歩きにくそうです。



ふと気が付くと、神幸行列が通る道には「辻弊」が挿し挟まれています。細い参道から県道243号に出て、長崎地区にある御旅所・王子神社に向かいます。祭りに参加する人の他は一緒について歩く人は、そう多くはありませんでした。



御旅所・王子神社で
御旅所の王子神社では、たくさんの人が待っていました。棒打ちの子達は帰りの神幸行列にだけ参加なので、近くの公民館に集合した後、王子神社に来るのだそうです。
御旅所に鎮座された神輿の前で神事が行われた後、神官、頭屋夫婦、社人、頂女郎(いたじょう)、行子(男の子の童児)、行子の親等が王子神社の拝殿に入ります。



拝殿内で皆さんが食事をされている様子を拝見しましたが、食事前に神事が行われたのかもしれません。食事の膳には、一夜仕込の酒を注いだコップ、枝豆、田芋、ご飯がのせられていました。お酒や枝豆、里芋等は氏子や参拝者にも振る舞われ、私も枝豆と田芋を頂きました。塩等は使われておらず、単にゆでただけでしたが、枝豆、田芋の甘みが感じられました。
氏子の方に聞くと、枝豆も田芋も子どもがたくさんできるように、子孫繁栄しますように…という願いだろうと言うことでした。ちなみに、昔(昭和30年頃まで)は大豆を田んぼの畦に植えるのが普通だったそうです。



食事が終わると、頂女郎(いたじょう)の準備が始まります。赤い着物をはおり、顔を白く塗ります。そして、頂女郎の準備が終わると、白粉を集まった子ども達の額にポチポチと付けてくれます。



朝峯神社に帰る神幸行列
帰りは、来る時に竹の先に付けてあった丸くした扇子を鳥居の上に残していくようです。来た時と、並び順は変わりませんが、神輿の前に棒打ちの青少年が入り、賑やかになります。



同じルートで帰りますが、車通りの多い県道から脇道に入ると、ところどころで神輿を大きく揺らします。また、棒打ちも道々で行われます。子ども達は、鼻高に追いかけられるのが楽しい様で、ちょっかいを出しては走って逃げます。行きと比べると、神幸行列に付いて歩く人や沿道の人も多く、随分と賑やかです。



お神輿が朝峯神社の拝殿におさめられ、神幸行列は終わります。境内には鼻高に抱っこされて、泣き出す子や喜ぶ子がいて、最後まで子どもの声が絶えないお祭りでした。



取材日:2013年10月20日、2014年10月19日、写真は全て2014年撮影(掲載日:2014年10月31日)